「光と闇」~その真の姿とは~ <完>
そうして、呪われた子どもとして忌み嫌われていた双子は、大人の勝手な都合と思い込みで、巫女として祭事に引っ張り出されるようになりました。


本人たちの意志を全く無視していましたが、祭事の時だけが、唯一、もうひとりの自分に会える時だったので、二人は素直に大人の言うことを聞いていました。


次第に、村人による双子に対する罵倒は減りましたが、それでも、自由が許される事は決してありませんでした。



双子は、自分たちが単なる道具として扱われている事を認識していましたが、いくら嫌だと思っても、それ以外の世界を知りませんでした。


もしかしたら、村の外に人の住む世界がある事さえ、知らなかったのかもしれません。


どんな扱いをされようとも、今いる村が、双子の世界の全てだったのです。


だから、この世界を壊せば、自由になれるかもしれないという考えが、頭に浮かぶ事はありませんでした。
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