ラブレッスン
『もらったら私が怒られちゃう。あとで歩に払うなりして?』





「…はい。」





『多分受け取らないだろうけどね。ふふ…

恩返しの様なものなんでしょうね。』





服をたたんで紙袋に入れながら言ったその言葉に首を傾げた。





「あの恩返しって?」





『え?何も聞いてなかったの?ヤバ…歩に怒られちゃう。』





ちょっと焦って口に手を当てるお姉さん。
その仕草は女の私から見ても可愛らしく見える。





『俺に怒られるって、姉貴何したの?』





後ろから不意に声が聞こえて来て





振り返ると睨みを利かせた結城歩が立っていた。






『何でもないよ?
支払いの事でちょっとね…』




『…ならいいけど。カードもうきった?』





お姉さんからクレジットカードを受け取って当たり前のように紙袋を持ち入り口へと歩いてく。





慌ててそれを追いかけようとした私に





『由宇さんよかったらまた来てね!』





声をかけてくれたお姉さんに深く頭を下げる。





「今度は一人でちゃんとお客として来ます。
一緒に服を見立ててくれてありがとうございました。」





そうして急いで結城歩の後を追いかけた。



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