ラブレッスン

罪悪感

ゆっくりと屋上からデスクまで戻る。






沢木さんの姿は見当たらなくて、どこかで泣いてるんじゃないかと思うと自分の事のように胸が痛んだ。






しばらくして戻ってきた沢木さんは、隣の席の横山くんに声をかけた。





私もパソコンから目を離して顔をあげる。





『急に具合が悪くなってしまって…。早退させて欲しいんですけど。

部長は会議中ですし、こういった場合誰に言えばいいんですか?。』





仕事にならない位ショックなのね。

けど…嘘ついて仕事を放棄するのはよくないわ。





「あと、数時間我慢できない?」






尋ねてみたけれど、一切私を見ようとしない。





『病院に行きたいのでお願いします。』





横山くんに頭を下げる沢木さんに横山くんは首を縦に振った。





『部長には俺から伝えとくよ。お大事にね。明日も休むようなら連絡するようにね。』




小さくはいと言って帰り支度を済ませて部屋を出るまで、沢木さんは一度も私を見ようとしなかった。




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