ラブレッスン
恋人として心配してくれてるのに私は。





相田部長を上司としてしか見ていない。


上司としてしか見られない。







相田部長が好きなんだって思っていた。





好きって気持ちも確かにあった。




けど…





相田部長に対する‘好きって’気持ちは憧れの延長でしかなかったんだ。







もっと早くに気付いていれば良かったわ。





そうしたら、昨日エレベーター内で私はNOと言っていた。





ーーけど、相田部長と付き合わなければきっと気づかなかった結城歩への想い。











“思わせ振りな態度をとるほうがよっぽど残酷だと思いませんか?”





結城歩の言葉が頭の中にはっきりと浮かび上がる。



言ってることは正しい。
そんなのわかってる。


けど、相田部長に私と同じ様なこんな惨めで辛い気持ちになんてさせられないの。






一度はOKしてしまったのなら。






最後まで相田部長の気持ちに応えていかなくちゃ…ね。






きゅっと結んだままの口をゆっくりと開いた。







「ごめんなさい。まだ昨日の今日なので、つい上司に対しての返答してしまいました。

相田部長が相手で、場所が職場というのは、どうしても公私混同してしまうみたいです。」




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