ラブレッスン

何も言わない結城歩。

きっとこんな事言われて困ってる。




…いいえ呆れてる。
迷惑だと思われてるわ。







流れ落ちる涙もそのままで




どんな表情をしてるのかも涙で歪んで見えない結城歩の顔から目を逸らした。









そのまま背中を向けてその場から離れようと１歩足を踏み出した。














「！？」








ギュッと締め付けられる体と顔にかかる柔らかい髪の感触に動きが止まる。















何が起こったのかわからなかった。











くるっと反転させられたのと同時に目の前が翳って…













唇に軟らかい感触を感じる。













見開いたままの目に映るのはすぐ側にある結城歩の顔。











ゆっくりと唇から感触が離れていく。









それでもまだ近い距離にある大きな黒目の瞳。




通った鼻筋。








そして…






柔らかかった唇。