ラブレッスン
「すみません…冷静さを欠いてました。」




泣きそうな気持ちで頭を下げて謝る。





本当最悪。





よりによって、見られたくない人に見られていたなんて。






ーー相田部長にはあんな話、聞かれたくもなかったし、あんな不相当な姿の私を見られたくなかった。





頭を下げたままの私の肩に両手をそっと載せてくる。





それにつられて顔をあげると相田部長は慰めるような優しい笑顔を私に向けていた。





『誰だって自分に対する中傷を聞いたらショックを受けたり、怒ったりしてしまうよ。

けれど上司の立場としては揉めて欲しくなかったんだ。』






上司として……か。
相田部長の判断は正しい。




沢木さんも私も同じ相田部長の部下だもの。





「部長が止めて下さったお陰で落ち着きました。

以後気を付けますので、失礼します。」





そう言って会議室を出ようとしたのに。





なのに一向に肩に置いた手を離そうとしない相田部長。




離すどころか手に力を入れられて、グッと掴まれて胸が騒ぎだした。




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