アイザワさんとアイザワさん

君への想いを自覚したら、会話の中で昔交わしていた言葉を思い返して話していた自分に気がついた。


何だ……俺は忘れてなんかいなかったんじゃないか。


俺は……ずっと好きだったんだ。
相沢 初花のことが。


俺は背が低いから、ボランティアの時には底の高い靴を履かないでくれよと笑いながら言ったことを、


俺もマーマレードが好きだから、翠さんの作るジャムを楽しみにしているよと言ったことを、



手作業の時間で七夕飾りを作る時に、細かい作業が苦手だと話したら「先生、逃げないでくださいよー。」と君が笑いながら翠さんと一緒にクレヨンで折り紙に線を引いてくれたことを、



君は覚えているだろうか?


少しずつでいいから楽しい時間もあったことも思い出して欲しかった。



たった一つの辛い出来事だけで、俺たちとたくさん積み重ねた楽しい思い出まで塗りつぶさないで欲しかった。

< 161 / 344 >

この作品をシェア

pagetop