アイザワさんとアイザワさん
「かしこまりました」

4月はイケメンの一人勝ちです。


4月。
新体制になった。それからほぼ半月があっという間に過ぎた。

私の1日は、ほぼ、この男のネチネチとした説教から始まる。

「相沢ぁ。この発注、何かおかしくないか?」

「え?店長、どこがですか?」

「気づかないのかよ?ほんとバカだな。今日は何曜日だ?金曜日だろ?この商品のセールが来週の頭までなのに、何でまた先週と同じ数だけ入れてんだよ。在庫がたまるぞ。バカみたいにな。」

「……あっ。」


……こんなやり取りを毎日繰り返している。

実は私は、『契約社員』になってから4年も経ちながら、経営者の立場ではなかったので、社員がするような細かな仕事にタッチした経験が少なかった。

つまり、この目の前の男の言葉を借りて言えば「お前、ほんとに使えないヤツだな。」ってことらしい。私自身、バイトに毛が生えたくらいの能力しか持ち合わせていないのは分かっていた。


「ちょっと、相澤さん。初花ちゃんはまだ副店長の仕事に慣れてないだけだから、もう少し優しく教えてあげてよ。『分析』もさせてなかったんだから。」


鞠枝さんが見かねたように庇ってくれる。


これが、今の私の一日の流れだった。
説教込みは当たり前。情けないにもほどがある。


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