アイザワさんとアイザワさん

「……私達って、今周りからどういう風に見えているんでしょうね?」


そう言った私の言葉にちょっと苦笑いしながら「ケンカでもしたように見える……かもな。」と樹さんは答えた。


で、仲直りして泣き腫らした目をした彼女は水を買いにきた。よく考えてみたら結構恥ずかしい状況だ。



そのまま喉の渇きに勝てず、すぐに蓋を開けて水を口にした。その冷たさが、身体の隅々にまで染み渡っていくようで心地よかった。



「私…『家族』から見捨てられてなかったんですね。」


「一旦離れたのも『家族』を思ってこそ、ってことだったんだよな……離されたほうはすぐには分かんないよな。そんなこと。」



「お互いいっぱいいっぱいで気持ちを聞けなかったから……5年もかかっちゃいましたけど。」



「いいんだよ。長かったかもしれないけど、初花にも、お父さんやお母さんにも必要な時間だったんだよ、きっと。向き合ってみたら案外すんなりと受け入れられただろ?」



樹さんは、そう言いながらも、きっと自分の『家族』のことも考えているはずだ。


なんとなくそう感じていた。


今日私が『家族』に向き合ったことが、樹さんも『家族』に向き合うきっかけになってくれればいいな、と思った。
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