アイザワさんとアイザワさん

「聞いてみたらどうですか?……大先生なら、ちゃんと向き合って答えてくれますよ。」



私の言葉に、そうだな…俺もちゃんと聞いてみるよ、と優しく微笑みを返して樹さんはそっと私の手を握った。



ペットボトルを持っていてちょっと冷たくなってしまった手を、樹さんの温かい手のひらが包みこむ。



手を繋いだ瞬間に感じるこの温かさがとても心地良くて、いつも私は心の隅々まで温かく満たされていく。


たぶん、それは樹さんの心が温かいからだ。優しくて温かい心にいつも私は包まれて、守られている。
この人の隣が私の居場所なんだと、手を繋ぐ度に、寄り添う度に心からそう思う。


ねぇ、樹さん。と私は話かけた。

「『思い出の場所』に今度は向日葵が咲く頃に一緒に行ってくださいね。」


おばあちゃんとの思い出の場所は、樹さんとこれからも一緒にいよう、と気持ちを確かめ合った場所でもあって…過去も、今も、そしてたぶん未来のことまでも誓い合える大切な場所へと変わっていった。



だから、今度はいちばんあの場所が綺麗で輝いている時期にまた二人で立ちたいんだ。


私のお願いに、いいよ、と満面の笑みで賛成してくれた後で、樹さんは急に真面目な表情になって私にこんな事を言った。


「……なぁ初花、一緒に暮らさないか?」
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