アイザワさんとアイザワさん

「それは、仙道さんのミスですよねぇ…」

初花ちゃんが笑いを堪え、同情するような表情で私に話し掛けた。

「そうなのよ!乙女の夢のプロポーズを何だと思ってんのよ。」

ここは全国チェーンのコンビニ、サンキューマート。私の職場だ。出勤時間を過ぎ、暇になったコンビニの店内で今日のお仕事の相方、相沢初花ちゃんとお喋りにいそしむ。

『乙女』と名乗るにはだいぶ無理のある歳なんだけど、初花ちゃんは優しいからそういう点は突っ込まないでいてくれる。


私の『残念』なプロポーズの話を楽しくてしょうがない、といった感じで聞きながらもその目の奥には悲しみが少しだけ見え隠れしているのにも、私は気がついている。

この話だって、ほんとうはするべきじゃなかったのかもしれない。


明るくて可愛らしい初花ちゃんは、妹のように大切な存在だ。


大切で、守りたくて…そして絶対にしあわせになってほしい。


善ちゃん…ごめんね。


私は、初花ちゃんがしあわせを見つけるまでずっとそばにいるって4年前に心に決めたの。


…だから、私一人だけがしあわせになっちゃいけないんだ。


< 323 / 344 >

この作品をシェア

pagetop