アイザワさんとアイザワさん

「…妬いてますよ。」

当たり前じゃないですか。そんな気持ちで答える。

「朝から『絶対渡してくださいね!』なんて言われてこれだけチョコ受け取り続けた気持ち分かります?…私のこと彼女だって分かってる人もいましたよ。そんな人でも『お客さま』だから笑顔でいなくちゃいけないんです…可愛い人だって、美人でめちゃくちゃスタイルのいい人だっていましたよ。…焼きもちだって妬きますし、自分と比べたら…落ち込みますよ。」


言ってるうちに悲しくなってきて、目にじんわりと涙が浮かんできた。


私がこんなに落ち込んでるとは思わなかったんだろう。樹さんは一瞬びっくりしたような表情をして、それからしょうがないなーと笑いながら、頭を撫でてきた。


「初花は…ほんとに、バカだなぁ…。」

チョコだって律儀に持って来なくても良かったのに。そう言いながら。


「店に来た以上は『お客さま』だから、俺も受け取っていたとは思うよ。…でもそこまでだよ。好意を向けてもらったり、見返りを求められても俺は応えることはできない。…どうしてかは分かるよな?」


私はうん、とうなずいた。
それくらいはさすがに分かる。…でも。

「ちゃんと言葉にして…言って欲しいです。」

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