アイザワさんとアイザワさん
不安な事はどんなことでも言っていいよって樹さんは言ってくれたけど…不安だけじゃなくて、他の事だって『分かるよな』で済ませないで、ちゃんと口にして欲しい。
「俺には、初花だけだよ。」
樹さんはそう言いながら溢れた涙を受けとめるようにそっと頬にキスをした。
「他の誰に気持ちを向けられても俺は初花しか見てないし、初花の気持ちしかいらないんだよ。俺には、一生お前だけ。…だから、もう余計な事を考えないようにずっと俺だけ見てろよ。」
耳元で囁くように言った後で、顔をのぞきこまれて「まだ言葉にして言って欲しい?」と確認される。
「…もぅ充分わかりました…」
赤くなって消えそうな声でそう返事をしても、樹さんはまだ耳元でもう離さないからな、俺はお前がいないと生きていけないんだ、なんてニヤニヤしながら続けている。
「何か…適当に言ってませんか?」
「そんな事ないよ。もう初花が不安にならないように思ったことは何でも言うようにしてるだけ。全部ほんとのことだよ。」
真剣かと思ってもニヤニヤしてはぐらかすような事も言われてしまう。それも全部ほんとの事だって言うし…
「私、樹さんのこと…よく分からないです。」
思わずそう口にしてしまった。