アイザワさんとアイザワさん
あ、『紙袋』で思い出した。
「バレンタインデーのやり直し、大賛成です。今日は一緒にお買い物して、ご飯作って、家でゆっくりしましょう。『Milky way』のチョコレートケーキもありますからね。」
「それと…昨日の紙袋。あれコンビニから買いました。お金払ってくださいね!」
昨日はいろいろと振り回されたから、これくらいは言ってもいいはず。
でも、彼はやっぱり私には負けたくないらしい。
おいでおいで、と手招きをしてわざわざベッドまで私を呼び寄せると耳元でこんなことを囁いた。
「昨日は散々だったからな…今日はその分きっちり取り返すから。紙袋代は、身体で払うって…どう?」
…朝から何を言ってるんですか。
普段ならちょっとドキドキしますけど、そんな布団から顔を出したままで言われても可愛いだけですよ。
「まだ酔ってるんですか?もぅ。寝ててくださいね。…行ってきます!」
私は笑って手を振ると玄関に向かって歩いて行った。
…5年ぶりに言った『行ってきます』の言葉に感動しながら。
仕事を終えたらすぐにここへ帰って来よう。
『ただいま』『お帰りなさい』そう言い合って、しあわせを思いっきり噛み締めるために。
バレンタインデーをやり直して、とびきり甘い時間を過ごすんだ。
私はそんな素敵な期待に胸を膨らませながら、コンビニへの道のりを歩いて行った。
〈end〉


