アイザワさんとアイザワさん
えー!樹さん!それって、アリ?!…ナシでしょ。
この場合、誰を恨めば…
小山さん?
迂闊にトリュフを食べちゃった私?
ってか、樹さん!お酒弱すぎです!
私が彼に唯一勝てる点。
それは『酒量』かもしれない…
甘い甘い夜への期待はこの瞬間に終わってしまい、初めて彼と過ごすバレンタインデーの夜はこうして更けていったのでした…
***
翌朝
今日は樹さんが休日。私が朝日勤だ。
出勤の仕度をしていると「おはよぅ…」とベッドから弱々しい声が聞こえた。
「樹さん。具合大丈夫ですか?もう少し眠っても大丈夫ですから。家に戻ります?…鍵使ってくださいね。」
まさか彼も合鍵を最初に使うのがこんな理由になるとは思わなかっただろう。
布団をかぶったまま少しだけ頭を出して樹さんが言った。
「日勤終わるまで待ってる。…俺、初花からチョコもらってない。」
それは出すタイミングが無かったからでしょう。
まるで子どもみたいに口を尖らす姿に思わず笑みがこぼれてしまう。
ほんとうに、この人は可愛い人だ。
私が紙袋いっぱいの『気持ち』に負けたり不安になったりすることは、もうないはず。それだけは自信を持って言える。
だって、彼のこんな姿を知っているのは私だけなんだから。