アイザワさんとアイザワさん
今のうちに店長にも短冊を書いてもらおう。
ちょうど店も忙しい時間をすぎていたので、私は短冊の束を持ってスタッフルームへと入った。
「店長、短冊取ってください。」とハサミを片手に、折り紙と格闘している店長に声をかける。
「今、手が離せねぇよ。相沢、お前適当に選んでくれ。」
……あんたも選んで欲しいんかい。
相澤の色はもう決まっていた。
「はい。」
私は迷わずオレンジ色の短冊を渡した。
タバコの香りがそうであるように、相澤のイメージは柑橘類って感じだ。
シトラスだったら黄色がぴったりだけど、それだと同じ色になっちゃうからね……。
「今日中に書いてくださいね。」
「七夕飾りといい……人使い荒いな。」
「笹が大きいのが悪いんですよ。文句なら相澤オーナーにどうぞ。」
お客様にだって短冊を書いてもらうのだ。店長の頑張り次第で、今日だけの作業で充分に足りるだろう。
「送別会……全額出してもらうとするか。」
恐ろしい言葉をサラリと吐きながら、相澤は3つ目の網を作り終えたようだった。