アイザワさんとアイザワさん

***

七夕祭りが終わった。

昨日まで店頭を賑やかに飾っていたこの笹と七夕飾りも、七夕を過ぎてしまえばただの巨大なゴミとなる。

ちょっともったいないので、お客様に書いてもらった短冊だけは7月いっぱいまで店舗の中に飾ることにしていた。

いくつかの飾りとともに、短冊をひとつひとつ外して、袋の中に寄せていく。


「よっ、働いてるねぇ。ご苦労、ご苦労。」


そう言いながらニコニコ笑顔で近づいて来たのは源ちゃんだ。

「あれー?源ちゃんだ。久しぶり。あれ?源ちゃん、今年短冊書いてくれたっけ?」

おぅ、書いたぜ。そう言って横倒しにしている笹の真ん中あたりから短冊をひとつ抜き取った。

「ほれ。これだよ。」と言いながらほいっ、と私に短冊を手渡す。『100歳まで生きる。』大きく、堂々とした字でそう書いてあった。


「そんぐらい生きないと『孫』のしあわせ見られないだろ。」

源ちゃんなら120歳くらいまで生きられそうだけど……と思いながら「あれ?孫って、恵梨(えり)ちゃん何歳になったっけ?」と聞いた。

ちっちゃい頃、源ちゃんの孫の恵梨ちゃんがよくお姉ちゃんのように遊んでくれた。

「もう30になるんだけど、なかなか落ちついてくれなくてねぇ。『私、仕事好きだから、まだまだ結婚しないわよ』なんて言われちまったよ。」

「ま、こっちとしてはもう一人の『孫』のほうも心配だけどな。」
< 43 / 344 >

この作品をシェア

pagetop