アイザワさんとアイザワさん

「初花ちゃん。……キスするんなら、見つからない場所でしなさいね。」

「えっ……」


「唯ちゃんがスタッフルームに入った時、資材庫であなた達がキスしてるの見えちゃったんだって。」


み、見られてた……

恥ずかしさに首まで真っ赤に染まっていくのが自分でもはっきりと分かった。


「ま、私たちはおいおいシフトに入りながら聞いていくとして……」


「実は、唯ちゃんからこの話聞いたの二人で鞠枝さんの赤ちゃん見に行った時だったのよねー。……鞠枝さん、『何にも知らなかったわよ!』ってかなり驚いてたから、覚悟しときなさいよ。」


えー!!何で知らないうちに、そんなことになってるのー!!

私は、軽くパニックになっていた。
……空気読めよ、察しろよ!茂木 唯!!


しかし、言ってしまったものはしょうがない。
私は、覚悟を決めた……


「……茜さん、私から話すまでは何にも聞かないでもらえませんか? 唯ちゃんは……何言っても無駄そうなので、夕勤まで話広がらないように釘刺してもらうだけでいいです。」


最近、唯ちゃんと仲が良さそうだから、茜さんに頼んでおけば噂になってこれ以上広まることはないはずだ。


後は……鞠枝さんか……いろいろ聞かれそうだな……


「初花ちゃん、私に何か報告することない?!……あるよねぇ?」

予想通り鞠枝さんから電話がかかってきたのは、その日の夜のことだった……

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