病院嫌い〈2〉



『夏帆。 ごめんな
治療が怖くて嫌なのもわかっているし

一人でいる時間も多くて
寂しくて心細い気持ちもわかっているよ

でも、今日は一日病院にいるから
辛くなったらいつでも呼んでいいから
頑張ろう』


と言う




すると、夏帆は顔を上げて



『ごめんなさい。
ずっと治らないなんて勝手に思いこんで
不安になっちゃって、直輝先生のことを
困らせて…。ごめんね、私。心も体も弱くて』




肩を震わせ目を真っ赤にしている夏帆に



『夏帆は弱くないよ
これからもいっしょに頑張ろうな』



と真剣に言い、頬にキスをすると…



ほんのり顔をピンク色に染めた夏帆が



『ありがとう。
私、治療がんばる…』



と言ってくれた



『…ありがとな
じゃあ、今から点滴を打つから俺の膝の
上に座って……』



『………うん』




『おっ 偉いぞ
じゃあ、怖いから目を瞑ろうか』



震えながら俺の膝に座る夏帆の手を優しく
持ってアルコールを染み込ませた脱脂綿で
ふいて



『すぐに終わるからな』



と声をかけ針を刺す



『うっ ヒック… 』



『はい、終わり!!』




目にたまった涙を指で拭って、唇を重ねる


















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