【短編】好き、です。

…バカバカしい。



表情には出さないようにしながら間を通ろうとするが通れない。


強行突破も可能だが怪我をされても困る。



「だからさぁ、何やってんの?邪魔なんですが」



仕方なくもう一度問う。



「…あんたのせいよ」



予想通り、返答が返ってきたのは目の前にいる奴らからではなく後ろからだった。



深い溜息をつき、くるりと体を一回転させる。



すぐ後ろに立っている稲沢は、眼孔鋭く私を睨みつけていた。



「は?意味が分からないんだけど」



私のせいって何がだ。



「川崎先輩は、私に、好きな人がいるから付き合えないって言った…!どうせあんたなんでしょっ⁉︎」



それは、言いがかりだとおも…



「近づくなって言ったわよね⁉︎あんたがいなければっ!先輩は…先輩はっ…!」



ひとつ思うのだが、ここは教室だ。




他にもこのクラスの生徒は沢山いる。




なのに、稲沢の話を聞いてると、稲沢が葵先輩に告って振られた事がバレバレだ。



それは他のクラスメートにも同じだろう。





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