理屈抜きの恋
「おい。無理しているのならその書類は俺が作る。貸せ。」

見兼ねた副社長がデスク上から資料を取った。
こんな風に強引に奪うことなんて今まで一度もなかったのに。
そのことが本当に副社長の怒りを表しているのだと思ったら怖くて、急いでその資料を掴み取る。

「大丈夫です!やらせて下さい!」

「集中力に欠けているやつに任せるわけにはいかない。」

その突き放されるような言い方に心がつぶれそうになった。

資料を掴む手の力が弱まると、資料はすんなりと副社長の手の元に収まる。

「少し頭を冷やして来い。」

そんなことまで言われてしまうなんて、本当に最悪だ。
自分の気持ちをコントロール出来ずに、仕事に支障をきたすことは予測していたのに。

「バカだ…」

休憩室に腰かけ、考えを巡らすけど、自分が情けなくてどうにもならない。

「最悪…」

「何が?」
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