理屈抜きの恋

今日は会長から頂いたディナー券を使って食事に行く予定で、その時に着て行く服に困ったから伺っただけなのに、どうして嫁とかプロポーズの話になるのか。
全く、話がかみ合わない。

「服ってウエディングドレスのことじゃないの?」

「ち、違います!デート用の服です!私、おしゃれに関して疎いので。」

「なんだ。そんなこと…。全く、あの子はやること遅いのよ!」

「いや。まだ出会って3か月足らずなので…」

「3か月も経っているじゃない。もしかしてまだやってもないの?」

「やっ…!」

海外生活が長いせいなのか、何なのか。
初対面でも似たようなことを言われたけど、そういうオープン発言は日本から出たこともない私には無理で…

「そういうことなら話は別ね!涼が撫子ちゃんを帰したくない、と思うような服を選んであげるわ!」

そう言って選んでくれた服は悩殺的なものから始まったのだけど、あまりの似合わなさにお互いに苦笑いを隠せなかった。

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