理屈抜きの恋
ゲームのルール説明では、名前を書く人数に規制はなかった。
会長がどうの、という疑問は残っているけど、このタイミングで声を掛けてくれたのだから、名前を書いてくれと頼むことは決して間違ってはいない。
紙を男性の目の前に差し出す。

すると、男性はそれを掌で押し返してきた。

「俺はゲームに参加していない。よって名前を書くつもりはない。以上。」

以上、って。
ゲームに参加していないのなら、なぜここにいて、人の名前を聞いたの?
会長との関係を聞きたかっただけ?
関係がなさそうだからもう用なし?

ダメだ。
さっきから一方的過ぎて私の方は何一つ解決していない。

残念ながら私の頭は意味の分からないことを分からないまま処理できるほど上手く出来ていないのだ。

私に背を向け、今度こそ立ち去ろうとする男性の前に回り込み、もう一度紙とペンを差し出す。

「名前、書いて下さい。」

「しつこいな。」

「ゲームですから。」

「何度も同じことを言わせるな。」

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