理屈抜きの恋
「どうせなら真っ赤な口紅にしましょうよ。」なんて言いながら、細井さんが持っている口紅を塗ろうとしてくる行動には子供っぽさを感じるけど、この明るくて裏表のない性格は見た目以上に魅力的で男性から人気があるわけがよく分かる。

でも、今日の細井さんは見た目が強烈過ぎる。
髪はかなり盛っていてキャバ嬢みたいだし、メイクは髪に負けないようにとしっかり施されている。

特別可愛くなるように服から靴まで全て新調して、髪も有名な美容師を指名予約してセットしてもらうと言ってはいたけど、ここまでの気合いの入れようとは。

それもこれも「披露宴に呼ぶ男性陣、ほとんど同世代で独身だから、いい人見つけてね!」と新婦が言っていたからなんだけど。

そう、本日の主役は細井さんじゃなくて、新婦の真美ちゃん。
唯一の女性の同期で、26歳の誕生日にプロポーズされて結婚を決めた。
旦那さんは3つ上の29歳。

灯りが消え、スポットライトを浴びながら会場内に入って来た二人は眩しい程に輝いている。

「「綺麗〜!」」

招待客の口から洩れる声が会場内に一斉に響き渡る程、真美ちゃんの姿は美しい。

拍手で迎えられる二人を写真に収めるべく、細井さんにシャンパングラスを持ってもらい、鞄から取り出したカメラとともに二人を追う。
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