理屈抜きの恋
「誤解…」

「会場を出た直後、先輩に告白された。もちろんそれは断ったけど、『キスしてくれたら諦める。』ってそう言われたんだよ。」

実際にそんなこと言える人っているんだ。
でも、それを言って何になるんだろう。
思い出作りならあまりにも切ない。

「それがキスをした理由なの?」

コクリと一度縦に頷いた最上くんは私から目を背け、先輩とキスをした唇を噛みしめた。

「そんなに噛んだら血が出ちゃうよ。」

あまりにも苦しそうな表情に最上くんの顔に向けて手を伸ばすと、その手が優しく包まれた。

「俺、撫子を守りたかったんだ。」

「え?」

「『キスしてくれなければあなたの大事な子がどうなってもいいの?』って言われた。だから…」

「え?ちょっと待って。先輩は最上くんの好きな人を知っていたの?どうして知っているの?」

「好きな人のことって、いつも気にして見ちゃうだろ?そうなると自然と分かるんだと思う。先輩は俺が撫子を好きなことを知っていた。」

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