理屈抜きの恋
あんな風におでことおでこを合わせて熱を測るなんて、このデジタルな世の中でアナログ過ぎる。
それ以上に、パーソナルスペースを無視しすぎている。
男性と接触することに慣れていない私の心臓は猛ダッシュした時のように早く打ち付けていた。

「しょうがないだろ、体温計なんかないんだから。あ、でも、それで耳が真っ赤なのか?なんだよ、心配して損した。」

心配?

「最近忙しくて身体ちゃんと休めていないんだろ?」

「それは副社長だって同じですよね?むしろ副社長の方が休めていないんじゃないですか?」

休日出勤している事くらい、週明けの部屋の様子で分かる。
社員の方々から早く認めてもらいたいという気持ちがヒシヒシと伝わってくるから私もそれに協力をしているけど、そんな必要ないのに。

「俺は体力あるし、毎日充実しているから問題ない。」

「それでも無理をし過ぎです。もう副社長は十分、社員の方からの人望を集めていますから無理はなさらなくても大丈夫ですよ。」

先週の日曜日、久しぶりに麻雀をしに統括部長のお宅に伺った時、統括部長が「副社長が就任してから社員の士気が上がった。」と言っていた。
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