恋の仕方がわからない

2

「……え?今何て?」
あのアニメを流しながらテレビに齧り付いてニヤニヤしていた由香が、目の前で柔らかな微笑を浮かべている。
「ごめんねぇ、奈子。今日は一緒に帰れないや。今日裕也(ゆうや)と帰るから」
でもあたしは知っている。その美少女の裏の顔を。
「おけ。楽しんで」
ニヤっと笑い返すと背後で待っている裕也?とか言う彼氏を確認。
「奈子てめえ、余計な事言ってんじゃねーよ」
こそこそと話始めた由香に彼氏は何事かと目を向けてきた。
さすがに親友にやってきた春を邪魔する趣味はないので、笑顔で頷いてやる。
「大丈夫大丈夫(`・ω・)b
親友カップルを邪魔するような真似はしねぇぜ!でもちょっっっっとだけ彼氏さんがどんな人か気になるから話させてよ」
由香の肩を叩いて安心させようとしたけど、逆効果なのか、せっかくの可愛い顔を歪めて「余計な事すんな」と、ジトッとした目を向けてくる。
「えっと…谷口くんだっけ?」
せめて由香の友達として恥ずかしくない様に普通の女子を装う。
「あ、笠原さんだよね、笠原奈子さん」「イェ…うん。由香の事よろしくね〜。あたしの大事なマブダ…親友だから!」
男子と会話するのって久しぶり過ぎてどうしたらいいのか…。
一応同学年で顔見知りの谷口くんだからまだこの距離で話せるけど、先輩とかにでもなったらどうなることやら。後輩にさえキョドってしまうのに。
「うん。大切にします」
あたしが動悸を抑えるのに必死でいると、谷口くんが真っ直ぐあたしを見て真剣に話してくれている。谷口くんの返事に由香も嬉しさが口元から溢れ出ていて、ニヤニヤし始めた口の端を押さえつけて、変顔させてやりたい。
つい昨日まで「俺の嫁!」とか言ってアニメ雑誌をあたしと一緒に眺めてたやつとは思えないほどのリア充オーラ。
ここにこのままいたら倒れそう。
「よかったね、由香。それじゃ、あたしは「おい、裕也」」
突然あたしの横に飛び出てきた顔に驚いてしまう。喉がヒュッと音を立てた。








男子だ………………。





















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