課長と私

「もぅ…私このまま死ぬみたいじゃないですか…」




「それくらい大事だから…」





「…じゃあ…ちょっとだけ。」





少し目を閉じて休む。



少し…のはずだったんだけど…







「ん……?」







さっきまで薄暗かった外が完全に暗くなっている。


今…何時だ…






「うそ…1時間も寝て……ご飯…」





まだ完全復活では無いものの、さっきの眩暈は治ったようだ。
ゆっくりと寝室から出た。



そこには、さっきいたはずの彼の姿はいなかった。






「あれ…亮くん…」






キッチンに行くと、何かを食べ終わり洗った食器が置いてあった。






「楓ちゃん、具合どう?」




「あ…亮くん。あの…ごめんなさい、あの後私寝ちゃって…」





風呂上がりの彼が肩にタオルをかけたまま近づいてくる。






「いいよ。気にしてないし、休まないとダメでしょ楓ちゃんは。」






どこまでも優しい彼に嬉しさ反面、うまくコントロールできない自分の体に少し嫌気がさす。


彼に近づいてまだ暖かい体に顔を埋める。






「…すいません。」




「何が?」






嬉しそうに私の体を抱きしめなおす。

あったかい…。







「亮くん……好き。」






少し沈黙があり「……困った…」と一息つく彼。






「…しちゃ…ダメだよなぁ……」




「…そう…ですね……」





彼の中で葛藤があるらしい。







「キスは…どうですか。」





「大丈夫…かと。」





「では…」






少しだけ顔の赤い彼はお風呂でのぼせてしまったのか、それとも…
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