課長と私
番外編

story1


「先輩。」

「ん?」

「あの…私の、どこが好きですか?」

「…え?」


日曜日。

ソファの上で最近買った本を読んでいた彼に一言。
雑誌でよく見るやつ。男の人にとっては、めんどくさい質問。

私があまりにも目を逸らさなかったせいか、先輩は読みかけの本を閉じた。


「どうしたの?」

「…なんとなく、です。」


実はつい先日、私の友達がその質問のせいで軽く喧嘩になった。
何でそんなことになったのに彼に聞いてしまったのか。興味ってすごい。


「例えば?」

「た、例えば?」

「楓ちゃんは、なんて言ってほしいの?」

「えーっと……か、可愛いとか?料理が上手とか?」


自分のことなのに自信がない。
私の答えを聞いて、少し考えこむ先輩。


「……いい匂いがするとこ。」

「匂い…?」

「あとは、酔うと抱き付いてくるところ。」

「え…っ」

「あと、料理するとき髪を結ぶところでしょ。…あとはー…」

「ちょ、ちょっと待ってください!」


思わず口をはさんだ。


「な、なんか…マイナー過ぎません?」

「だめ?」

「え、い…いやぁ…うーん……」


褒められているのだから、文句は言えない。
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