課長と私

「あとは…面白い話をニヤニヤしながら話してくるところと、嘘が下手なところ。」


それから何個も、1つ1つ丁寧に考えながら話す。
私のことを本当によく見ている。


「あ、声も好き……特に夜の」

「あーーーー!だ、だめです!いきなり何ですか!」

「え?好きなところって言われたから…」

「そー…ですか……」


好きと言われると…
ちょっと嬉しくなってしまうのは否めない。


「楓ちゃんは?」

「私…ですか?」

「俺のどこが好き?」

「先輩の…好きなところ。」


先輩の好きなところ…好きなところ…好きなところ…


「え、無いの?」


さすがに不服そうな彼。

そうじゃないんだけど、思ったより言葉でいうのが難しい…


「あります、あるんだけど…んー…」

「俺はそういうところも好き。真面目なところ。」

「え!?あ、分かった…まずですね、大きな手が好きです。」

「手?」

「あとは、低い声。落ち着くんです。」

「男の人ってみんなそうじゃないの?」

「先輩だからですよ…あとは、ちょっと心配性なところとか、ワイシャツの袖をまくってるときとか。」


指折り数えながら話をしていると、優しく微笑みながらこちらを見ている彼と目があった。

< 220 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop