課長と私

story6


「課長、楓と長続きしている秘訣って何なんですか?」

「え?」


定時を過ぎたオフィス内。
少しだけ残業をしていた私に、会議から帰ってきた課長が缶コーヒーをおごってくれた。

ちょっと前に私の友人である楓と、皆の憧れの相手、柳瀬課長が付き合っていることが分かった。
そのことが分かったときは確かにビックリしたし、でもその反面嬉しかった。
課長のことは会社でのことしか知らないけど、彼が楓の相手で心から安心したことをまだ覚えている。

そんな彼に興味がわかない訳がない。


「こんなに長く付き合ってて、お互い嫌な所とか出てきませんか?」

「嫌なとこ…?んー…。」

「その様子だと…無いんですか?」

「んー…思いつかない…かな…」

「じゃ…じゃあ、楓のことで分からないこととか…私が知っていることもあるかもしれませんし…」


そう言うと、うーんと唸りながら考えている。
何秒かして何か思いついたように顔を上げる。


「楓ちゃんが時々…甘えてくるときがあって…」

「何ですか、のろけですか」

「いや…楓ちゃん、自分からは甘えてこないんだよね基本的には」

「へぇ…あの子恥ずかしがりやですもんね…で、時々甘えてくるときがどうしたんですか?」

「甘えてくる時って、あんまり機嫌がよく無さそうな時なんだよね。」

「どういうことですか?」

「俺も分からないんだけど…」


楓の機嫌の悪い時っていつだろう。
しばらく考えてみて、思い当たることが1つあった。

これは…言っていいことなんだろうか。


「何か知ってる?」

「え!?あ、あぁ…なんとなく、分かった気がします。」

「どうすれば良いんだろ…」


おそらく原因は女性特有のアレだと思うんだけど…
< 249 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop