課長と私

「課長、たぶんそれ…あの……」

「………あっ」

「分かりましたか?」

「え……あ、だからちょっと具合悪そうなのか…」


察しが良い人で良かった。

確か楓は2日目にかなりひどい出血があると言っていた。
そういうときに限ってミスをしてしまったり、嫌なことが続くとだんだん表情も暗くなってくる。

私は同性で少しは理解がある方だと思うけど、異性となるとなかなか難しいものだ。


「私にも時々抱き付いてくることがあるんです。その体勢が楽みたいで、抱き付いてると痛みが少し和らぐんですって。」

「なるほど…」

「そういうことが出来るってことは、課長には心を許してるんですね。」

「最初分からなくて…誘われてるものだと思った。」

「ふふふ…確かに、何も知らないとそう考えちゃうかも…。最近はどうしてるんですか?」

「うーん…気が済むまでそのままの体勢でいる。…時々泣いてたりするし…」


私の前ではそんなことはしない。
きっと、彼の前だけそんな姿を見せているのだろう。


「あの期間は気分が落ち込みやすいみたいで…いつもは気にならないことも聞き逃せないんだと思います。」

「そっか…。解決した。」

「問題なさそうですけど、優しくしてあげてください。」

「うん。なるほどね…」


うんうんと自分の中で納得したろころがあるようだ。
理解力のある彼氏で本当にうらやましい。


「普段からああいう風に甘えてほしいな…ウェルカムなのに。」

「んー…楓も素直じゃないですからね。っていうか、課長は本当に楓にメロメロですね。」

「メロメロって今どき使う?……否定はしないけど」

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