体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
沖田ファミリーは、百合にとってまだまだ遥か彼方の遠い存在だった。

それなのに、この藤沢敦子の娘と結婚する? 
この、フラワーアレンジメントのセンスがまったくなく、いかにも田舎のおばちゃんぽい藤沢の娘と? 
講座の代金さえも、自分が休んだ時には返金してくれないかしらとぶつくさ言う、せこいおばさんの娘と? 

結婚するのは娘で、母親は関係ないのだが、百合はショックで目の前で得意げな笑みを浮かべている敦子に怒りを覚えた。

近いうちに敦子が沖田ファミリーの親族となり、百合よりも沖田ファミリーと近しい存在になるなんて、考えたくもなかった。

ぐるぐると胸の中でとぐろを巻きだした黒い嫉妬心は、あからさまに百合の瞳の色に反映されたが、しかし鈍感力みなぎる敦子は何も気づかない。
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