体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
千里は、すべてのメールの最後に加えられている
『優さんがご結婚されると伺いました。おめでとうございます』
というコメントを読みながら眉をひそめ、近くにいた夫の勇を呼んだ。

「ねえお父さん、ちょっと……、ちょっと来てよ!」
「なんだよ」

せっかちな千里に比べてマイペースな勇は、千里に早く早くと急かされても慌てることはない。ゆったりとした歩調で千里の横に立った。

「ねえ、優が結婚するみたいなんだけど、あなた何か聞いている?」
「へぇ、そうなのか? 何も聞いていないよ」

勇は大して驚いた様子もなくゆったり答え、腰をかがめて美里が指さしたメールを覗き込んだ。
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