体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
20年以上の月日をかけてクリアにした家族の謎の結末を、今晩にでも父と母に話してやろうと思った。

「それにしては、お前の彼女を見たことがない」
「秘密主義だから」
「いるのか?」

いて欲しかった。

「残念だけど、いない。言い寄られるとげんなりするしね。もう一回言っておくけど、僕、美弥さんに憧れてたの。だからもしかしたら優君の恋敵になっちゃうかもね」

生美が顔を少し傾げてにっこり笑う。

これでもかというほどきれいな笑顔は、これでもかと言うほど意地が悪く、感じが悪かった。

優は自分の気持ちに正直になり、さあ次に進もうと覚悟を決めた途端に、急に巨大なハザードに阻まれた気がした。

生美が恋敵だって? 冗談じゃない。最強じゃないか。

目の前で、小悪魔的に微笑む弟は、兄から見ても見とれるほど魅力的で憎たらしかった。

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