体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
「じゃあ何が望みなのよ」

その率直な問いかけに、優と勇はついコクリと頷き、同意を示してしまった。

「あともう少し、これまで通り付き合って欲しいんです。会社の人にも結婚すると言ってしまったし、二股かけたこと、悪いと思っているなら、最後は私だけと付き合って終わりにしてください」

もう少し付き合いを延長するかどうかは、親が出る幕ではない。
振られた男と形ばかりの付き合いを続けてそれで満足するのかとか、別れようと決めた女と付き合いを続けていけるのかとか、疑問は多い展開だが、あくまでも2人が考え、2人が決めることだ。
敦子は綾香を見つめ、勇は優に目をやり、どういう結論を出すのか待つだけだった。

素直に別れないとは言っていたが、まさか綾香からこんな要求が出てくるとは思ってもみなかった優は驚き、そして気持ちが離れた状態でどうやって付き合えばいいのかと、思考を巡らせた。

「あともう少しって、どれくらい?」
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