体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
美弥はテラスから部屋に戻り、テーブルの上に並べられた皿を見て、思わず手をたたいた
クロックムッシュと彩も彩鮮やかなサラダ。もぎたてのミニトマトもちゃんと添えられている。そしてライチとオレンジのデザートに香ばしい入れたてのコーヒー。
週末に美弥が泊まった朝には必ず作ってくれるクロックムッシュは生美の得意メニューで、パンやハムやチーズの種類がそのたびごとに変わる。
この日のクロックムッシュはエメンタールチーズに生ハム。
パンの上からチーズが白いお皿に向かって溶けだしている。

「うわあ、今日も美味しそう」
「美味しいよ。愛がこもってるから」

毎回交わす冗談だけど、美弥はそのたびにパンからとろけ出ているチーズのような気分になる。


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