体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
「それを言うなら、父さんが僕を置いてきぼりにして車で帰っちゃったからだよ」
「そう考えると、本当に”縁“て不思議ね。まるで線路のポイント切り替えみたいに、急に予期せぬ方向に進んでいくものなのね」
「柏木美弥、なかなかいいたとえだが、それだけにイメージすると寂しくなる」

真っ直ぐ伸びる2本のレールの上をスーッと進んでいた列車が、カシャっという切り替え音と共に急に方向転換する映像が、リアルに3人の頭の中に浮かんだ。

「あれ? そういえばなんで優君、ニューヨークにいるの? わざわざ僕をどっきりさせるため? それとも優君もオフィスの下見?」
「違うよ。秋からこっちに赴任することになったんだ。アパートの下見だ」
「え、本当!? グッドタイミングじゃない。優君がこっちに常駐してくれるなら安心だ」
「グッドじゃなくて、バッドタイミングだ。あくまでも会社の赴任だから勝手にそっちの仕事を振ってくるなよな」
「優君、最近タイミング悪いもんねー」

さっきまでとは一転してテンションが上がった生美が優に向けて人差し指をひらひらさせる。

「お前が言うな」

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