体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
「それにしても凄いな。よく冷静に仰向けの態勢になれたな」

優が背中の美弥に話しかける。

「たまたま前に会社が主催した子供キャンプに駆り出されて、川に流された時には仰向けになるって教わっていたのが良かった。それに実際はそれほど流れが速くなかったし」

「さすが、It’s SOMY」

「ほんと。SOMYに入社してよかったって、初めて思った」


美弥をおぶってパラソルまで戻った優は、それから20分ほどして「用事あるからそろそろ行くわ」と先に帰っていった。

「残念ながら意気投合できる男はいなさそうだしね」と、美弥に耳打ちしてから。

小走りで消えていく優の後姿を見ながら沼田が、「あいつ、これから彼女とデートらしい。いいよなあ」と言ったので、美弥は、これから彼女と会って、どこかで食事をしながら楽しそうに笑う優を想像し、「ふうん」と思った。

正直に言えば、「ふうん」としか思わないようにした。
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