囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「不毛な恋とかもう……聞いてるだけでツラい!」
ホテルを出て、『朝飯食べてく?』って聞いてきた及川の誘いを断って、その足で向かったのは同期の兼田玲奈の部屋。
九時前にインターホンを鳴らされて、しかも完全な寝起きだったにも関わらず部屋に上げてくれた玲奈に、感謝の意味も込めてコンビニで買ってきたパンとコーヒーを渡したのが三十分前。
部屋の中央にあるローテーブルの上には、ふたりで食べたパンの包みと空になったコーヒーの紙カップが置いてあるだけだった。
そして、私の向かいに座って自分自身を抱き締めるようにして「ツラいツラい!」ともらす玲奈の顔からも、寝起きのぼんやりとした表情はすっ飛んでいた。
訪ねておいてこんな事思うのも失礼だけど。
よく土曜の朝からこんなにテンション高く話せるなって感心する。
しんみりされるよりはよっぽどいいけれど。
1LKの玲奈の部屋は、突然の訪問にも関わらず綺麗に片付けられていて、綺麗好きの玲奈らしいなぁと思いながら紙カップを持ち上げて、そういえばもう空だったと思い出す。
「あ、コーヒー入れる。インスタントでいいでしょ?」
「うん。ごめんね。朝から家事させちゃって」
「全然。コーヒー入れるの好きだし」
「好きなの?」
「うん。休日の朝って感じがして好き」