囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


「ごめん。意地悪言った」

しがみつくように抱き締める腕。
それに堪らなくなって謝ると、及川が「ううん。いいよ」と泣き顔みたいな顔して笑うから……私から上を向いてキスをする。

「華、もっとして」と、及川に微笑まれ、再びそっと口づける。
二度目のそれは触れるだけにはとどまらず、入ってきた及川の舌に私も応えていると、そのままソファーに押し倒された。

「え……っ、するの……?」

そんなつもりなかったから驚いて聞くと。
及川はにこっと微笑みながら私の服を脱がしにかかる。

「するよ。華が余計な事考えられないように」

ニッと笑った唇に声を塞がれて、諦めて及川の首に手を回して抱き締めた。


好きだけど。好きだからこそ……些細な事が受け入れられない。

キスしたり、他にも色々した後、疲れたのか〝少し寝ていい?〟と、二十分経ったら起こすように言って眠った及川を眺めながら、ぼんやり思う。

私がしている事って結局、保身でしかないのかもしれない。と。

及川はそういうヤツだからって、今までだってそうだったんだからって……捨てられた時、傷つかないようにその認識をわざと変えないだけなのかもしれない。

そのせいで及川にあんな顔させてたんじゃ意味ないのに。

捨てられたってなんだっていいって覚悟して飛び込んだくせに……想いを返してもらえた事が幸せすぎて、手離す事が怖くなって保身に走ってるなんて、聞いて呆れる。

片想いしてた時はもっと強かったのに、想いが通じた途端、脆くなってしまうなんて。
及川の寝息に混じってため息が落ちた。

「ごめんね」

眠っている及川のおでこにキスしてから、時間がくるまでその寝顔を眺めた。




< 156 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop