囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


「深月さん、すみません……。俺のせいで深月さんが悪く言われてるなんて知らなくて、俺……。ダメだって分かってるのに、お客さん相手でも筋の通らない事言われると我慢できなくて……本当にすみません!」
「別にいいよ。私がコーチャーとしてダメなのは本当だし」

分かりやすく落ち込んでいる表情を見ると、なんか犬みたいだなぁと思う。
大型犬で、人懐っこい種類の……ゴールデンリトリバーとかそんな感じだ。

「でも俺、深月さんがなんて言おうと、深月さんが誰かに悪く言われるのは嫌です。だから頑張ります」

そう、決心したように言う大崎くんに、お弁当を食べながら「じゃあもうお客様相手に反論しないでね」なんて言ってると。
及川にお茶を持ってきた花岡さんが、くすりと笑った。

「なんか、深月さんと大崎くんって仲いいのね。大崎くん、すっかり深月さんに懐いてるみたいだし……そのうちそういう関係になっちゃったりして」

「ね、及川くん」と話を振られた及川が「あー、そうですねー」と話を合わせているのを背中で聞きながら、「そういう関係ってなんすか?」と大卒の男とは思えない発言をする大崎くんに呆れて笑う。

「……本当に野球漬けだったんだね」
「うすっ! 燃えつきました!」

とりあえず場が収まった事にホッとしながら、少し急いでお弁当を食べた。

< 30 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop