囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


「えー、深月とってよ」

世話焼くのもどうかと思って、気を使ったっていうのに。
そんな私の気持ちなんてお構いなしに、及川がへらっと笑いながら言うから、ため息をついてからズボンを拾って投げた。

「寝る時、脱ぎ散らかすのって、いつもなの? 風邪引きそう」

なるべく自然に、と意識しながら言った言葉に、ズボンをはき終えた及川が顔を上げて私を見る。
その瞳に嘘を見破られないよう、気を付けながら苦笑いを作った。

「ただ寝るだけなのにズボンまで脱ぐ必要ってあったの? こんなところ見られたら、彼女に誤解されちゃうよ」

私をじっと……本当にじっと見つめて真意を探る瞳から、すっと目を逸らして、ハンガーにかけてあるスーツに手を伸ばした。
背中に刺さる視線が痛い。

「酔って覚えてないんだけど、及川が面倒見てくれたんでしょ? ごめんね、ここのお金、私が出すから」

笑顔を作ってから振り向いて、はい、とネクタイとスーツを渡すと、及川は尚もじっと探るように見てから薄く笑みを浮かべた。

「覚えてないんだ?」
「お店出たあたりまでは覚えてるんだけどね。ごめんね。結構迷惑かけた?」

目を逸らしたらバレる気がして、私も見つめ返しながら聞くと、及川は「迷惑なんかじゃないけどね」と笑って言った。

「俺は覚えてるから言うけど、まぁ、そういう関係にはなっちゃったかなーって」

苦笑いとも呆れ笑いとも違う、余裕のある笑みを向けられて……用意してあった表情と声を取り出した。



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