囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「え……っ」
「いや、気付かない? よく分かんないけど、身体の調子とかそういうので。感覚的に分かるもんじゃないの?」
「んー……もしかしたらとは思ってたけど。でも、覚えてないし、及川が何も言わなかったら何もなかったって事でいいかなって思って」
「えー、俺が何もなかったよって言ったら、深月は何もなかったんだって信じるって事?」
「それどうなんだよ」と苦笑いを浮かべる及川に「でも、お酒の勢いでしちゃっただけなら、そうした方が後々楽だし」と言って笑って見せる。
「及川みたいにちゃんと言う人って珍しいと思うよ。恋愛ゲームなんてしてるろくでなしのくせに、変なところ誠実なんだね」
明るく笑った私に、及川は弾かれたように驚いた顔をして……それから「もしかして深月、こういう事今までもあるの?」と聞いた。
及川の問いに、にこりと笑顔を返す。
洞察力の鋭い及川を誘導尋問に引っかけるのは一苦労だ。
起きたばかりだっていうのにかなりの精神力を削られた気分になりながら、ゆっくりと頷いた。
「たまにならね。だからこういう事したからってどうってわけでもないし、及川も気にしなくていいから」
「ほら、着替え終わったなら早く出よ」と、背中を向けた瞬間。
カチリって音を立てて、演技のスイッチが切れた気がした。