囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


決起集会があった翌週、七月の第一金曜日。
同期での飲み会があるからと呼ばれた先は、少しオシャレな創作料理店だった。

最近出来たばかりだというお店の外壁は真っ黒で、間接照明に照らされた場所に、白いペンキで店名が書かれていた。
殴り書かれたような文字は雰囲気があるし、入口までのアプローチや店内の照明もやたらと洒落ていて、飲み会でなんて使っていいのか少し気を使うほどだ。

お店は、玲奈の配属されている支店の取引先らしい。

集まった人数は七人。その中には、及川もいた。

半分個室のようになっているテーブル席には、150センチほど高さのある壁で仕切られていた。

大きめのテーブルをソファーのような席が挟んでいたから、そこに三人と四人で別れて座る。
女子四人、男子三人だったから男女で別れた。

通路側に玲奈が座り、その隣に私。及川は一番奥に座っていた。

お昼はダイニング、夜はダイニングバーとしてメニューが切り替わるって玲奈が自慢げに話すから、みんなしてへーと頷きながら夜用のメニューを覗き込んで注文する。

それから「お疲れー」と男子のひとり、小田くんがみんなの顔を見ながら言った。

「お疲れ様ー。って言っても、これからボーナス商戦だけど」
「先週決起集会だったのに今週もって、俺の財布にすげーダメージだし、もうボーナス商戦どころの話じゃねーし」
「あれ。決起集会、上司の奢りじゃねーの?」
「えっ、前橋支店って上司の奢りなの? うちばっちり割り勘なんだけどなにその差!」

他の支店は実費なのか。だとしたら出たくないなと思いながら聞いていると。
隣の玲奈に腕をぐいっと引っ張られた。


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