囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


どうやらちょっと顔貸せっていう意味らしいから、そっと席から抜け出す。
始まって早々で、まだドリンクすら来ていないけど、同期だしその辺はあまり気にしない。

どんどん歩いて行く玲奈に、どこまで行くんだろうと思いながらついて行くと外まで出てしまう。
そんなに周りに聞かれちゃマズイ話なのかなと思いながら、私も続いて外に出た。

真っ暗になった空には星がいくつも出ているけれど、昼間からのムシっとした湿気を含む空気はまだそこにあって肌にまとわりつく。

星が見えてる状態でこの湿度なら、雨が降ったらどうなるんだと心配になる。
パーマかけ直さなくちゃ梅雨を越せないかもしれない。

車の邪魔にならないようにか、お店の黒い外壁の前に立った玲奈がこちらをクルリと振り向くなり口を開く。

「で? 及川との進展は?」
「え。……なんだ。玲奈に何か内緒話があるのかと思ったら、その話?」
「当たり前じゃない。一ヶ月前、急にあんな事言い出したくせに、あれっきり連絡くれないんだもん! すごい気になって仕事にならなかったんだけど」

「放置プレイ?」と眉をしかめる玲奈に、ああ、確かに連絡してなかったなぁと思う。
なんだか及川との事ってよりも、大崎くんとか……主に大崎くんだけど。その関係が忙しくて忘れていた。

あれから大崎くんは特に何も言ってこないし、態度が変わったとかもない。
だから、私も普通に接していられるし助かってもいるのだけど……ただ、仕事は相変わらずだ。


< 74 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop