キミが愛しいと気付いたからで



『悠斗……私……』


でも先輩はその言葉の先を言わない。

それが余計に不安を煽り、もどかしい気持ちにもさせる。





『先輩は俺のことが嫌い、なんですね』



その時だった。

その言葉の直後だった。



泣きたいのを必死に堪える顔で、未だ繋がれた手に力を入れてきたのは…。




『先輩、嫌いなら嫌いって言ってください。

 そうじゃないなら、もっと俺の手に力を込めてよ』



先輩はさっきよりも繋いだ手の力を強める。






『……先輩?』




先輩は俺のこと、嫌いって訳じゃない。

広がる安心感と、広がる“何故、それならば気持ちを言わせてくれない”という疑問。




けれど、先輩の目はとても真剣で。


未だ先輩は繋いだ手の力を緩めることもない。


俺も自分の手に力を入れ、先輩の手を握る。


先輩もまたも力を込めて繋ぎ合わせる。




離さない手、

強める手は、

先輩が俺を少しでも必要と考えてくれているから、なのかもしれない。


俺は、そう受け取ってしまったんだ。

この時の先輩の気持ちなんて何一つ知らずに-…










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