強引な彼との社内恋愛事情*2
お会計をすませて、店をでた。
なぜか、すがすがしい気持ちになった。今なら、言える気がした。
「私、タクシーで帰る」
「あ。相乗りしますか?」と、水谷さんが言ったけど、帰りたい場所は、私の家じゃない。
「ごめん。彼の家」
なんの約束もないけど。たぶん、きっと家にいる気がした。
「あ。ごめんなさい」
「今日、楽しかった」
「私もです」
「水谷さん」
「はい?」
「ありがとう。こういう話、私、誰かとしたかったんだと思う。すごく気持ちの整理がついた気がした」
「気持ちの整理?」
「うん。なんか、私。社内恋愛ってだけで、すごく肩張って生きてたみたいで。広重に嫌な思いさせてきたし。無理させてたから。ようやく、気にしないですみそう。いっぱい話したからかな。ありがとう。ごめんね。私の話だけで」
「いいえ」
「また、こっちに来ることがあったら、ご飯でも行けたらいいわね」
連絡してね。そう言って、タクシーを停めて、乗り込む。
また会えたらいいな、と、私に手を振り続ける彼女を見て思った。
広重にメールをした。
[会いたいから、会いに行くね]
目も閉じる。つかの間の休息のような時間を、私は、水谷さんの笑顔と、それから広重のことを考える時間にあてた。