大きな河の流れるまちで〜番外編 虎太郎の逆襲〜
明後日から家族旅行だ。
夏休みは、本当はサッカー部の活動で忙しいはずだったので、参加しないつもりだったけれど、このザマなので、一緒に行く事にした。
あやめも来年は受験生なので、今年で全員参加の家族旅行は最後になるのかもしれないと思う。
ただ、花火大会のある8月31日はサッカー部の連中と花火を見る約束をしていて、一緒に行くあやめと1日だけ先に帰る事にした。
まだまだ、松葉杖なので、他の乗客に迷惑にならないようにリュウがビジネスシートをとってくれた。今回はのんびり眠れそうだ。

昴君が僕の部屋に宿題を運んでくれる。ハワイでも暇なんでしょうと笑って、どっさりプリントを持ってきてくれたのだ。
今までのプリントで、わからなかった箇所の確認をする。昴君の説明はとても分かりやすい。
ところで、と僕は聞きたい事を質問する。
「プライベートな 質問していいかな?親とか、友達に聞けなくって」と切り出す。昴君はクスクス笑って、どうぞと言う。
「昴君の初体験って何時?」と聞いてみる
「いきなり、突っ込んだ質問だね〜。18歳の時。クラスメートの女の子と。」と笑う。
「どうやって、相手の女の子が、その気になったってわかったのかな?」と聞く。
「ナルホドね。普通お付き合いを始めると、女の子も時間が経つにつれ、そういうもんだって知っているっていうか…うーん、あやめちゃんとの場合は何時からが大人のお付き合いかっていうのが、明確じゃないんだね。」と笑うので、僕は
「この間、キスの時舌入れたら、固まって、逃げたし。」と言ったら、昴君は大笑いをして、
「そうかー。逃げられたか。初々しい反応でいいな。」と言う。
「でもさ、あやめちゃんはチビ虎の事が好きなのはわかってるんだから、ひるまず、繰り返していいんじゃない。大人の付き合いがしたいって、態度を見せれば、そのうち、わかるんじゃないかな。オット、こんなアドバイスしたのが知れたら、俺、ナナコに怒られるかな。」と頭を掻いた。そして、
「君はまだ、16になったばかりでしょう?急がなくても良いんじゃないかな。っていうアドバイスの方を採用して欲しい」と笑った。
いや、急ぐつもりはないんですけど…昴君の最初のアドバイスの方を採用だな。と僕は思った。
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