大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
そんな自分の心に気づいて、あたしはどきりとする。



―――なんで?

なんで、あたし、そんなこと………。



どきどきと速い鼓動を鳴らしつづける心臓の音をふりはらうように、あたしは龍生の腕から荷物をひとつ奪い取った。



「あ?」


「いっこ、もつよ」


「ああん? いいよ、たいして重くねえ」


「いいの! オーレのものだから、持ちたいの」


「ふうん、ま、いいけどよ」



龍生は少し小首を傾げてから、また歩き出した。


その高い横顔を、ときどき盗み見る。



―――龍生も、男の子なんだよね。


高田くんと同じように。



でも、高田くんは怖かったけど、龍生は怖くない。


こんなに怖い見た目なのに、龍生は怖くない。



高田くんに手をつながれたのは居心地が悪かったけど、なぜだか、龍生の腕をつかみたいと思ってしまったあたし。


なんでだろう………。




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